「稲城市」は不動産投資に適した地域か?

「稲城市」は不動産投資に適した地域か?

「稲城市」で不動産投資を考えられている方のために、稲城市の地域の特性、将来人口推移、地価の動向、賃貸需要について調査してみました。

これらの調査項目は投資エリアを選定する上で、最低限調査すべき必須情報となるでしょう。

投資先選定で参考になる情報がありましたら、是非活用下さいませ。

では稲城市の概要、特性から見ていきましょう。

稲城市の概要、特性

ではまずはじめに、不動産投資におけるもっとも大きなリスクのひとつである空室リスクに関連する空き家率から見ていきましょう。

空き家率の推移

稲城市の平成25年の空き家率は8.5%となっていて、東京平均(11.1%)よりもかなり低い数値であることがわかります。(平成25住宅土地統計調査より)

また平成20年の空き家率:8.1%からは少し数値は悪化していますが、都内で3番目に良い空き家率になります。

また平成10年からの空き家率の推移は下記の通りです。※平成5年~25年の5年毎

平成10年:13.0%(3620戸)
平成15年:8.1%(2480戸)
平成20年:8.5%%(2760戸)
平成25年:8.1%(3320戸)

現在のところ稲城市による具体的な空き家対策は確認できていませんが、その背景に稲城市の不動産は需要が高いために空き家になる前に売買、賃貸などの取引で消化されていると考えられます。

また稲城市の平成15年からの空き家率は都内でも優秀な数値であり、全国的に空き家率が上昇する中、稲城市は5年前の優秀な数値を維持していることを考慮すると、稲城市に深刻な空き家問題は該当しないと言えるでしょう。

刑法犯認知件数の推移

不動産投資を行なう上で投資先の治安の良し悪しは、賃貸需要にも影響を与えることが考えられます。

では稲城市は安心して暮らせる街であるかどうかの基準である犯罪件数(刑法犯認知件数)を見ていきましょう。

稲城市中心街の治安について市民の過半数以上が「治安が悪い」という印象を頂いているアンケート結果がありますが、実際の刑法犯認知件数はどのように推移しているのでしょうか?

過去の犯罪件数は下記となります。

平成14年:4477件
平成16年:4083件
平成18年:3096件
平成20年:2543件
平成22年:2244件
平成24年:2055件
平成26年:1837件
平成27年:1785件

年々減少していることがわかります。さらに平成14年と比較すると半数以下にまで減少しています。

これは稲城市による防犯パトロールの実施や防犯活動支援などさまざまな犯罪防止対策に取り組んできた成果と言えるでしょう。

減少傾向にあることと稲城市による防犯への取り組みを考慮すれば、今後さらに治安の良い街になることが期待できます。

待機児童数の推移

ファミリー層を視野に入れた不動産投資を行う場合、子どもがいる世帯がメインターゲットになります。

また子育て世帯で仕事との共立を希望する世帯も増加しているため、待機児童対策は注目すべき項目でしょう。

では子育て世帯が住みやすい街であるかのひとつの指針になる待機児童対策について見ていきましょう。

過去の待機児童数は下記となります。

平成21年度:99人
平成22年度:61人
平成23年度:51人
平成24年度:43人
平成25年度:50人
平成26年度:33人
平成27年度:0人
平成28年度:0人

年々減少し、27年度には待機児童ゼロを実現しました。

ここ数年の待機児童数の動向と稲城市の取り組み及び成果を考慮すれば、子育てがしやすい街と言えるでしょう。

次に稲城市の人口について考察していきましょう。

稲城市の人口推移

稲城市の人口動向について調査しました。日本人総数の直近5年と過去抜粋データが下記となります。※()は外国人登録者数。

2016年:86351人(1110人)
2015年:85479人(1115人)
2014年:85087人(1082人)
2013年:84795人(1082人)
2012年:84274人
2000年:66842人
1990年:56502人

稲城市の人口は、昭和46年に稲城市が誕生してから増加を続けています。2016年と1990年の人口を比較する7.8万人(1.52倍程度)と急激に増加していることがが確認できます。

次に生産年齢人口と年少人口ですが、生産年齢人口は2010年、年少人口は2013年以降はどちらも緩やかな減少にて転じています。

反対に老年人口は増加を続け、2010年には年少人口を追い越しています。この人口動向より稲城市でも少子高齢化が進んでいることが読み取れます。

年少人口:1985年:35774人、1995年:10097人、2005年:11838人、2015年:13270人

生産年齢人口:1985年:35744人、1995年:47357人、2005年:53748人、2015年:56285人

老年人口:1985年:2827人、1995年:5352人、2005年:10906人、2015年:17039人

では今後の人口推移はどうでしょうか。下記は国立社会保障・人口問題研究所による2020年~2040年までの稲城市の人口将来推計となります。

2020年:91108人
2025年:92406人
2030年:93036人
2035年:93148人
2040年:92826人

稲城市誕生より続いた人口増加も2035年にピークを迎え、その後は緩やかに減少することが予測されています。

ただし、2020年と2040年の人口を比較すると1700人ほど2040年が多いことが予測されています。また現在の人口と比較しても6400人以上多い数値となっています。

また人口と構成比率の推移については、現在の少子高齢化の傾向が継続することが予想されます。

2020年から10年毎の推移を見ると、さらに少子高齢化が進んでいることがわかります。※2020年→2030年→2040年→2050年→2060年

生産年齢人口は64.0%→63.2%→57.0%→54.5%→55.1%

年少人口は14.1%→12.2%→11.8%→11.5%→11.1%

老齢人口は22.0%→24.6%→31.2%→34.0%→33.7%

しかし2060年までの予測では、生産年齢人口は下げ止まり上昇に転じています。そして反対に老齢人口は上げ止まり減少に転じていることがわかります。

次に稲城市による将来の人口推計をに見ていきましょう。

2020年:921518人
2030年:100485人
2040年:101914人
2050年:102462人
2060年:101370人

社人研によるデータよりも15年先の2050年に人口のピークを迎える予測となっています。さらに人口増加数も多い予測となっています。

では1997年~2016年までの矢野口、東長沼、大丸、百村、坂浜、平尾、押立、向陽台、長峰、若葉台地区の人口動向を見てみましょう。※1997年→2007年→2015年の人口となります。

矢野口:12112人→13258人→16297人
東長沼:9964人→11324人→11956人
百村:3207人→4103人→4889人
坂浜:3094人→2721人→2838人
平尾:11629人→10963人→11325人
押立:4144人→4258人→4635人
向陽:7810人→7530人→9397人
長峰:2857人→4518人→4599人
若葉台:355人→9127人→11819人※1999年→2007年→2015年

ここ数年も大きく増加している地域、横ばいでの推移、減少と地域による格差が見られます。

稲城市全体の流れとして人口は増加傾向に中で、すでに減少している地域や横ばいになっている地域は投資エリアとしては適さない可能性が考えられます。

また稲城市は「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定して

「安定した雇用創出」

「新しいひとの流れつくる」

「若い世代の結婚・出産・子育て環境の整備」

「時代にあった地域作り」

に取り組んでいるため、今後の動向に注目したいところです。

 

稲城市の不動産価格

次に稲城市の不動産価格の動向について見ていきましょう。

まず稲城市の地価は、東京都内38位、全国60位となっています。最も高い坪単価は1988年の約145万円でしたが、2016年現在は1/2程度の70万円前後で推移しています。

では最近の地価の変動を見てみましょう。

バブル崩壊後下落が続いた地価も2007~8年の2年間は上昇に転じました。

しかし2009~12年の4年間は再び下降に転じましたが、2013年から2016年は上昇に転じています。

なお稲城市の2016年の地価は前年比プラス1.4%の上昇となり、稲城市を7エリアに分割した地域別の2016年データでは、稲城長沼地域を除いたすべてのエリアで上昇しました。

なお坪単価の最高値は町田駅エリアの約76万円(前年比約2.2%UP)、最安値は小野路町エリアの約61万円(前年比約2.5%UP)となります。

また稲城市の平均地価は約70万円となり、最高値と最安値の差が15万円程度しかないため、市内の地価に格差がないことがわかります。

2016年に稲城市で地価がもっとも大きく上昇した地域は、京王よみうりランドエリア(約3.8%)でした。

反対に下降した地域は稲城長沼(-0.5%)のみとなります。

稲城市内では地価の差が少ないため、投資物件を探す際に交通や居住環境などの利便性、地域の人口動向から将来の人口推移を分析しての賃貸需要などを考慮して物件を探すことで、費用対効果の高い投資が可能になるでしょう。

では稲城市内の家賃相場はどうなっているでしょうか?部屋のサイズ別に見ていきましょう。

では家賃相場はどうなっているでしょうか?部屋のサイズ別に見ていきましょう。

ホームズ家賃相場情報によると、1R・1K・1DK:40位、1LDK・2K・2DK:31位、2LDK・3K・3DK:31位、3LDK・4K・4DK:40位となります。

地価の38位と比較するとほぼ同ランクになります。部屋の種別により順位に差が見られるため、家賃設定が有利な部屋のタイプの物件に投資することが有効と言えるでしょう。

稲城市の不動産の特徴をまとめると、「地価は安定推移」「市内の地価に格差ない」「部屋タイプによる設定家賃に優劣あり」となります。

稲城市の交通・アクセス

では稲城市の電車状況はどうなっているでしょうか?

稲城市内には5つの駅があり、JRと私鉄の利用が可能です。

まずはJR。JRは南武線の利用が可能です。

停車駅は下記となります。

・南武線:南多摩駅、矢野口駅、稲城長沼駅

次に私鉄。私鉄は京王相模原線の利用が可能です。

停車駅は下記となります。

・京王相模原線:京王よみうりランド駅、稲城駅

複数路線が利用できる駅は、確認できていません。

 

稲城市で行う不動産投資の将来性

これらのデータを元に稲城市は不動産投資エリアとしては適しているのか考察してみましょう。

まず人口から。

国立社会保障・人口問題研究所のデータによれば、稲城市の人口は2035年まで増加することが見込まれています。さらにその後の動向も緩やかな減少となり、現在の人口水準以下になるのはさらに先になると予測されています。

また稲城市による予測ではさらにピークは先に設定されていて、人口もさらに多い予測での推移となっています。

また地域別にみると上記の表にある通り、現時点で上昇、維持、下降傾向がはっきりと数値のあらわれているため、将来人口推移に照らし合わせて地域の選別をする有効かもしれません。

以上の数値から判断すると、稲城市の人口問題が深刻化するのはまだまだ先のことと言えるでしょう。

では交通に関してはどうでしょうか?

稲城市はJRと京王の利用が可能な利便性の高い地域と言えます。都心へのアクセスもよく、新宿駅まで23分程度、渋谷駅まで31分程度、また川崎方面へのアクセスが良いのが特徴です。

では不動産価格をみていきましょう。

稲城市の東京都内でのランキングは地価は38位、平均賃料は31位(~40位)となります。

稲城市の地価の特徴として、地域による地価の格差が小さいことがあげられます。

そのため交通や商業施設の利便性がよく、現在まで人口が急増している矢野口、百村、向陽台、若葉台といったエリアを中心に物件調査を置こうことで、費用対効果の高い投資物件を発掘できるかもしれません。

以上、稲城市の特性、人口、交通、地価について調査してきました。

これらの情報をもとに稲城市を総合的に判断すると、

  1. 2035年または2050年が人口のピークと予測
  2. 市内の地価に格差なし
  3. 待機児童ゼロ実現した子育て環境が整った地域
  4. 犯罪件数は減少傾向で、治安がよく住みやすい地域

これらの点に着目して投資物件を選定すれば、稲城市は投資エリアとして面白い地域と言えるのではないでしょうか?

※稲城市、国立社会保障・人口問題研究所、土地代データを参考に記事を作成しています。